近年ではアーモンドアイやリスグラシューを始めとした牡馬混合のG1でも強さが際立つ牝馬達。
各一口馬主クラブでは男勝りに強かった牝馬の仔が募集されているので、名牝の仔が自分の愛馬にできる素晴らしい時代です。
ただ当然募集総額も高額になりがちなので、出資には慎重にいきたい所。
この記事ではそんな強かった牝馬の仔達が、どれだけ活躍をしているのかを募集総額・獲得賞金等をベースに徹底検証していきたいと思います。
・収支の印は◎(黒字)〇(現役馬・黒字見込み)△(現役馬・赤字見込み)×(赤字)
・黒字のボーダーは(獲得賞金×0.7≧募集金額)
・獲得賞金はnetkeiba参照
・データは2022年2月6日終了時点
目次
11頭の名牝の産駒戦績
ブエナビスタ
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
× | コロナシオン | 牝 | 7,000 | 175 | 1,293 | 1勝C | サンデー | 2014 |
× | ソシアルクラブ | 牝 | 7,000 | 175 | 7,889 | OP | サンデー | 2015 |
× | タンタラス | 牝 | 7,000 | 175 | 6,722 | OP | サンデー | 2016 |
- | ブエナビスタの17 | 牡 | 16,000 | 400 | - | - | サンデー | 2017 |
△ | ブエナベントゥーラ | 牡 | 10,000 | 250 | 1,175 | 1勝C | サンデー | 2018 |
△ | ブエナエルドラード | 牝 | 6,000 | 150 | 0 | 新馬 | サンデー | 2019 |
- | ブエナビスタの20 | 牝 | 6,000 | 150 | - | 新馬 | サンデー | 2020 |
ジェンティルドンナ
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
× | モアナアネラ | 牝 | 8,000 | 200 | 3,813 | 3勝C | サンデー | 2016 |
〇 | ジェラルディーナ | 牝 | 7,000 | 175 | 5,978 | OP | サンデー | 2018 |
△ | マリーナドンナ | 牝 | 7,000 | 175 | 110 | 未勝利 | サンデー | 2019 |
ダンスインザムード
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
◎ | ダンスファンタジア | 牝 | 4,000 | 100 | 9,289 | OP | 社台 | 2008 |
× | マンインザムーン | セ | 10,000 | 250 | 2,966 | 1000万下 | 社台 | 2010 |
× | フローレスダンサー | 牝 | 4,000 | 100 | 3,047 | 500万下 | 社台 | 2012 |
◎ | カイザーバル | 牝 | 5,000 | 125 | 12,747 | OP | 社台 | 2013 |
× | ムードメーカー | 牡 | 5,000 | 125 | 0 | 未勝利 | 社台 | 2014 |
× | シャンデリアスピン | 牝 | 3,600 | 90 | 0 | 未勝利 | 社台 | 2015 |
× | ダンスディライト | 牡 | 8,000 | 200 | 7,818 | OP | 社台 | 2016 |
マリアライト
※収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
◎ | オーソクレース | 牡 | 8,000 | 20 | 12,323 | OP | キャロット | 2018 |
- | カルセドニー | 牝 | 5,000 | 12.5 | 0 | 新馬 | キャロット | 2019 |
シーザリオ
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
× | トゥエルフスナイト | 牡 | 8,000 | 20 | 500 | - | キャロット | 2007 |
× | ヴァイオラ | 牝 | 3,200 | 8 | 0 | 未出走 | キャロット | 2008 |
◎ | エピファネイア | 牡 | 6,000 | 15 | 68,779 | OP | キャロット | 2010 |
× | ロザリンド | 牝 | 3,200 | 8 | 119 | 未勝利 | キャロット | 2011 |
× | クローディオ | セ | 12,000 | 30 | 2,202 | 500万下 | キャロット | 2012 |
◎ | リオンディーズ | 牡 | 12,000 | 30 | 13,040 | OP | キャロット | 2013 |
× | グローブシアター | 牡 | 12,000 | 30 | 13,109 | OP | キャロット | 2014 |
× | シーリア | 牝 | 7,000 | 17.5 | 2,791 | 2勝C | キャロット | 2015 |
◎ | サートゥルナーリア | 牡 | 14,000 | 35 | 52,358 | OP | キャロット | 2016 |
〇 | ファーストフォリオ | 牝 | 7,000 | 17.5 | 6,870 | OP | キャロット | 2017 |
△ | ルペルカーリア | 牡 | 12,000 | 300 | 3,414 | 3勝C | キャロット | 2018 |
メジャーエンブレム
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
△ | プレミアエンブレム | 牝 | 5,000 | 125 | 2,350 | 2勝C | サンデー | 2018 |
△ | ホーリーエンブレム | 牝 | 6,000 | 150 | 180 | 未勝利 | サンデー | 2019 |
ハープスター
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
× | アストライア | 牝 | 7,000 | 17.5 | 50 | 未勝利 | キャロット | 2016 |
- | ライラスター | 牡 | 10,000 | 25 | 900 | 1勝C | キャロット | 2019 |
シンハライト
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
× | セブンサミット | 牡 | 10,000 | 25 | 691 | 未勝利 | キャロット | 2018 |
× | アルジュナ | 牡 | 10,000 | 25 | 0 | 未デビュー | キャロット | 2019 |
エアグルーヴ
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
× | イントゥザグルーヴ | 牝 | 6,000 | 150 | 6,865 | 1000万下 | サンデー | 2001 |
× | サムライハート | 牡 | 22,000 | 550 | 3,036 | 1600万下 | サンデー | 2002 |
× | ポルトフィーノ | 牝 | 6,000 | 150 | 4,499 | OP | サンデー | 2005 |
◎ | ルーラーシップ | 牡 | 18,000 | 450 | 54,976 | OP | サンデー | 2007 |
◎ | グルヴェイグ | 牝 | 5,000 | 125 | 9,815 | OP | サンデー | 2008 |
スイープトウショウ
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
◎ | スイープセレリタス | 牝 | 3,000 | 6 | 6,375 | OP | シルク | 2016 |
〇 | クリーンスイープ | 牝 | 4,000 | 8 | 3,056 | 3勝C | シルク | 2018 |
△ | ピエドラデルーナ | 牝 | 3,000 | 6 | 0 | 新馬 | シルク | 2019 |
アドマイヤグルーヴ
収支 | 馬名 | 性 | 募集額(万) | 一口(万) | 獲得賞金(万) | クラス | クラブ | 生年 |
◎ | ドゥラメンテ | 牡 | 10,000 | 250 | 51,660 | OP | サンデー | 2012 |
【検証結果】
黒字馬率は水準以上
今回の対象は母馬11頭、産駒の合計は45頭でした。そのうち損益がまだ判断できない若駒等4頭を除いた結果は以下のグラフの通りです。
「7割は赤字」というネガティブな見方もできますが、黒字馬率は31%は優秀な数字。
以前の記事(一口馬主って儲かるの?厳しい現実と黒字の3つのポイント)にも書きましたが、一口馬主全体の黒字馬率は10%前後ですので、名牝の子たちはその3倍と水準以上であることがわかります。
種牡馬輩出率 脅威の14.6%
さらに特筆すべきは「種牡馬輩出率」でしょう。
今回の対象馬からはエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリア、サムライハート、ルーラーシップ、ドゥラメンテと6頭が種牡馬入り、割合で言うと14.6%と脅威の数字です。
種牡馬入りの判断材料として現役時代の戦績も重要ですが、母系も重要視されます。
その際に「母もG1馬」というのはセールスポイントになるので、サムライハートはまさに血統面だけで種牡馬になった典型例です。
一口馬主目線では種牡馬入りの場合配当の恩恵も相当に大きいもの。名牝の仔に出資するのは種牡馬になる馬に出資する近道と言えます。
牡牝統計
牡馬 | 牝馬 | |||
頭数 | 19頭 | 26頭 | ||
募集平均額 | 11210.5万 | 5461.5万 | ||
赤字率 | 65% | 71% | ||
黒字率 | 35% | 29% |
牡馬と牝馬での黒字馬率は若干数牡馬が優勢という結果。分母となる対象頭数もそう多くはない為、特筆して狙うべき性別はなさそうです。
しかし、募集総額の平均は牡馬が牝馬の約2倍と大きな差があります。牡馬の方が高いというのは競走馬市場では通常ですがそれにしても募集総額平均が1億円を超えてますから、走らなかった時は金銭的なダメージは大きくなる上、赤字の確率は約7割と気軽には出資できないですよね。
ただ「第2の馬生」を考えた際、牡馬は種牡馬になった場合の配当が相当に大きいですが、牝馬は基本的に競走生活が終わると同時にファンド終了となります。キャロットや東サラでは、後々の母馬優先制度が設けられていますが、それが金銭面的にプラスになるかどうかはまた別の話。
牡馬はハイリスクハイリターン、牝馬はミドルリスクミドルリターンと改めて認識できます。
全産駒をベタ買い(出資)していたらプラスになっているのか?
もちろんそんな人はいないと思いますがせっかくなので検証してみます。
先ほどと同様に、損益がまだ判断できない若駒等4頭を除いた41頭を対象に集計してみます。
牡馬(17頭)
・募集額総額 18億7000万円
・獲得賞金 28億8047万円
・配当概算(×0.7) 20億1632万円
》牡馬はベタ買いで大幅プラス
レースの賞金だけでもプラス域ですが、さらにはここに最低でも10億以上はあろう種牡馬6頭分の売却金もあるので、ベタ買いしていてもかなりのプラスとなっています。
牝馬(24頭)
・募集額総額 13億1000万円
・獲得賞金 9億3858万円
・配当概算(×0.7) 6億5700万円
》牝馬はベタ買いはマイナス
まだ現役馬もいますがさすがにこれから7億以上稼ぐ見込みのある馬はいないので、牝馬ベタ買いはマイナスという結果になりました。
牡牝合計41頭
募集額総額 31億8000万円
獲得賞金 38億1905万円
配当概算(×0.7) 26億7333万円
》全馬ベタ買いでもプラス域
単純なレースでの獲得賞金ではマイナス域ではあるものの、6頭の種牡馬売却金、牝馬の買い戻し金を計上すればプラス域となるでしょう。
さすがに資金的にも、募集ドラフトでの票人気でも全馬ベタ買いは現実的ではなく参考にはしづらいデータではありますが、前項の黒字率や種牡馬輩出を見ても牡馬優勢なデータとなりました。
産駒の募集予定がある(ありそうな)牝馬
一口馬主クラブ出身の牝馬の産駒は同クラブで募集される事が多く、以下の名牝たちの仔も募集される可能性が大いにあると言えます。
一口馬主クラブ出身の牝馬
・アーモンドアイ
・グランアレグリア
・リスグラシュー
・クロノジェネシス
・ラッキーライラック
・アエロリット
・ラヴズオンリーユー
・ソウルスターリング
・デイリングタクト
・レシステンシア
・レイパパレ
今年の一口馬主クラブ募集にかかる可能性があるのが、リスグラシューの2021(牡・父モーリス)、アエロリットの2021(牡・父ドゥラメンテ)、ソウルスターリングの2021(牝・父ブリックスアンドモルタル)の1歳馬たち。どの馬も高額&人気が予想されますが、応援したくなる血統馬です。
名牝の仔の戦績 まとめ
今回は現役時代に強かった牝馬11頭の産駒に焦点をあてて検証した結果、以下のような検証結果となりました。
・走らなかった時のダメージは大きいが、黒字馬率は30%と高水準
・種牡馬輩出率は14.6%と圧倒的。種牡馬狙いには近道といえる
・牡馬と牝馬の黒字馬率は差がないが、黒字額は牡馬が大きく優勢
・牡馬はベタ買いしてもプラス、牝馬はマイナス
・総合的には牡馬への出資が前向きになる結果
個人的には「割高なので後ろ向き」と考えていた名牝の呼ばれたG1馬の仔への出資でしたが、今回思い立って検証してみると、牡牝の差がはっきりと出ていて牡馬はベタ買いしても大幅プラスというのは意外なデータでした。
もちろん今回対象にしたのは個人的にピックアップした11頭なので絶対的なデータではないものの、種牡馬輩出率が高いのは今後も高水準が期待できるでしょう。
アーモンドアイ、グランアレグリアをはじめとした近年の名牝の仔に出資できる機会があれば、お財布の許す限り前向きに考えてみたいと思います。