一口馬主って儲かるの?厳しい現実と黒字の3つのポイント

「一口馬主を始めたいんだけど、儲かるの?」

の問いに一言で結論をお伝えするならば

儲かっている人10%以下

儲からない人が90%以上

黒字にするのはかなり難しいのが実情です。

 

私は50人くらいの一口馬主の知人がいますが、私の知る限り黒字の人は1人だけです。

知人の中には中央馬主地方馬主の方、競馬記者の方もいるので、一口馬主で黒字にするのがいかに難しいものか分かります。

 

この記事では

ポイント

・なぜ一口馬主は儲からない人が多いのか

・黒字になってる人の実例とポイント

について解説をしています。あくまで一口馬主としての楽しみ等の要素はここでは触れず「収支」に焦点を当てた記事ですのでご承知おき下さい。

 

なぜ一口馬主で儲からない人が多いのか

賞金=配当ではない

中央競馬では未勝利戦で500万円、ジャパンCであれば3億円という1着賞金が設定されていますが、賞金全てを貰える訳ではなく、ここから以下のグラフの通り分配されます。

 

色々な競馬データベースサイトでは上のグラフで言うと100%の金額がその馬の獲得賞金として表示されている事が一般的なので、実際の回収率とは大きく異なる事は覚えておきたいポイントです。

一口馬主では、さらにここからクラブ手数料(営業者報酬)も差し引かれますので、実際には賞金の70%前後が分配される形になります。

獲得賞金の見た目以上に手元に入る賞金は実は少なくなっているのです。

 

1頭の馬の黒字確率は約10%!?

以前JRAが一口馬主を調査したデータによると、1頭の馬が黒字になる確率は12.8%だったそうです。

しかしこれには月3000円前後の会費も入っていないので、実際に一口馬主で黒字になっている方は10%前後と予想出来ます。

しかしJRAから発表された12.8%という数字は少し古いものですし、数字だけ見ても納得感はあまりありませんので、もう少し掘り下げてみましょう。

 

維持費が結構高額になる

毎月の維持費は一口馬主には費用はどれくらいかかる?の記事でも触れたように1頭につき毎月50万~70万かかってきます。

基本的に2歳の1月からかかってきますので、例えば月々の維持費が50万円として、2歳1月~6歳3月の51ヶ月分を計算すると2550万円かかります。

2550万と言うと、だいたいリステッド競争の1着賞金前後、手元に分配で考えると重賞優勝が必要になる金額ですので稼ぐのはかなり大変です。

※2550万円は概算値なので、実際の金額は前後します。

 

現在一口馬主クラブでは、クラブにもよりますが平均募集額は2000万~3000万円あたりです。

ここに月々の維持費を合計した金額以上に稼がないと黒字にはなりません。

生涯の獲得賞金が5000万円を超えるには少なくとも2勝クラス以上の成績を残さないと厳しいでしょうから、その確率は低いと言えます。

さらに厳密に言うなら月会費(平均1000円~3000円/月々)の支払いも必要になってきます。

 

天下のサンデーで黒字馬輩出率は

さてここでは、月々の維持費を加味した上で、天下のサンデーサラブレッドクラブでデータ検証をしてみます。

サンデーサラブレッドクラブと言えば近10年で8度の馬主リーディングを獲得し、2021年の日本ダービーもシャフリヤールで制すなど押しも押されぬ日本のトップ馬主です。

このサンデーサラブレッドクラブである程度の競走期間を終えた2015年産の募集馬データを対象に黒字率などを集計してみました。

独自の計算式なのであくまで予想数値にはなりますが、月々の預託費を踏まえた上でどれだけの馬が黒字になっているかを計算した結果が以下の通りです。

 

集計方法

・2021年11月1日時点のデータを参照
・維持費=2歳1月~現役引退時までの月数×50万円を維持費の固定額として算出
・獲得賞金×0.7を分配額として算出
・獲得賞金は一口馬主DBの情報を参照

 

サンデーサラブレッドクラブでは維持費を加えた上で黒字になっている馬の確立はおおよそ19.3%という集計結果になりました。

日本一の成績を誇るクラブでさえこの数字ですから必然的に他クラブでは黒字率はもっと下がってくるという事になり、やはりJRAが以前発表した12.8%前後に落ち着くと思われます。

更に相場3000円前後の月会費を加味すると10%前後の黒字率になると考えられます。

 

一口馬主で黒字になっている人の3つの特徴

ここまでかなりネガティブな内容が続いてしまいましたが、実際に儲かっている人・黒字になっている人がいるのも事実です。

冒頭に触れた、知人で黒字になっている一口馬主カネコさん(仮名)の現在のパーソナルデータを見てみましょう。

 

 

カネコさんは数年前まで他クラブにも入会していたそうですが、現在は社台とサンデーのみで、近5年の出資馬は驚異の全馬勝ち上がりで、全馬2勝以上しています。年間1~2頭の出資ながらG1馬タイムフライヤーや他重賞勝ち馬にも出資されています。

このカネコさんの出資スタンスには3つの特徴が挙げられます。

1.年間出資馬は少頭数

2.クラブ数を少なくする

3.未勝利馬に出資しない

1項目ずつ見ていきましょう。

 

①年間出資馬は少頭数

一口馬主を楽しんでいる方では「年間で1頭のみ出資」という方はほとんどおらず、皆さん5.6頭、多い方は数十頭と年間で出資されています。

一方カネコさんを例に見てみると、年間で1~2頭の少数精鋭スタイル。

先程見た通り1頭あたりの黒字率は10%程度でした。ただでさえ1頭あたりの黒字率が低いのに、その分母(頭数)を増やせば増やす程黒字化するのは難しいと言えます。

 

②クラブ数を増やしすぎない

この理由は、3000円前後かかるクラブの月会費は収支の計算する上で大きなウェイトになってくるからです。

カネコさんは以前は他クラブ所属していましたが、現在では社台&サンデーの2クラブのみです。

その上社台&サンデーはほぼ同一クラブの取り扱いで、会費も3300円という形ですから、月会費を軸に話すなら実質1クラブになります。

昨今は様々な一口馬主クラブからG1馬が誕生してどのクラブも魅力的ではありますが、あくまで収支にこだわっていくなら1.2クラブ等にして所属を少なくするのがベターと言えます。

 

③未勝利馬に出資しない

そんなの当たり前だろ!と言われてしまいそうですが、未勝利馬はへの出資はその馬自身が赤字になるのみならず、未勝利馬に出資する事で全体の収支へも影響してきます。

イメージとしてはアタリを見分けるのではなく、ハズレを引かないように出資馬を選定していきます。

 

未勝利馬に出資しない為には募集時に馬体や歩様、測尺、厩舎などを見て判断する必要がありますが、これから一口馬主を始めようと思ってる方の中には「馬体なんか全然見れないから分からない」と思っている方も多いはずです。

しかしそれは問題ありません。理由は2点挙げられます。

1つ目には「自然に馬体の良し悪しが分かってくる」からです。私自身の相馬眼は自慢出来たモノではありませんが、一口馬主を始めて数年経つと「重賞勝つような馬かは分からずとも、この馬はちょっと欠点が目立つな」という事は分かってきます。

ただ馬体をなんとなく見ているだけでは当然そうはなりませんが、私はコチラの本を教科書にして馬体は勉強しました。

1つ1つ丁寧に解説してくれてますから、一口馬主を始める方には全力でオススメ出来る本です。

 

馬体を見る事が出来なくても大丈夫といえる2つ目の理由は人気状況で判断する事も出来るからです。

各クラブ募集締切の前に、「募集馬の人気状況」を発表してくれます。競馬の「前売りオッズ」とイメージすると分かりやすいかも知れません。

レース前にオッズで人気の序列が分かりますので、さほど予想に時間をかけなくても上位人気から選んで馬券が当たる事もありますよね。

同様に「募集馬の人気状況」で上位人気の馬は馬体のデキや歩様が良いなどの理由で人気を集めてますから、上位人気の馬へ出資をすればおのずと未勝利馬へ出資するリスクは低減できると言えます。

 

まとめ

一口馬主儲かるの?のまとめ

・一口馬主で儲かってる人は10%以下

・賞金=配当ではなく、おおよそ賞金の7割程度が配当

・1頭の馬が維持費を含めた実際の配当で黒字になるのは約10%前後

・日本トップクラスのサンデーでも黒字率は19.3%

・黒字実例ポイント①「年間の出資頭数は1~2頭」

・黒字実例ポイント②「所属クラブ数も1~2クラブ」

・黒字実例ポイント③「未勝利馬に出資しない」

一口馬主では黒字にするのはどれだけ難しいかがお分かりいただけたと思います。それでも一口馬主の会員数は右肩上がりなのは「収支度外視で楽しいから」と思っている方も多いからでしょう。

もし投資観点で収益にのみこだわりたい方であれば、NISAやiDeCoで優遇税制を活用した資産運用が最適解です。

私自身もある程度のリスクは承知しつつ、その中でも記事内で紹介したカネコさんのように少しでも黒字に近づけるようにアプローチしていき一口馬主を楽しんでいます。

 

 

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